三橋たつお公式ブログ

岐阜市をやさしくあたたかく

大事にしたい困窮者の目線

外国人受け入れ拡大による人手不足対策から見えてくるもの

 人手不足に悩む業種の多い中、外国人の受け入れ拡大による問題解決策が着々と進められています。

 数年前からここ岐阜市でも、コンビニや飲食店などで働く外国人に出会う事が珍しくなくなりました。
 厚生労働省の岐阜労働局によれば、1年以上前の平成29年10月現在で岐阜県で働く外国人労働者の数は当局への届出ベースで2万7711人。製造業で働く1万6067人(58.0%)を筆頭に、建設業や運輸業、飲食などのサービス業など、実に様々な業種の担い手の一角として活躍されています。

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岐阜県の外国人雇用状況(厚生労働省岐阜労働局の発表資料から抜粋)

 すでに現状の制度でも外国人労働者が数多くいるのに、さらに法や制度を整備して外国人を増やす政策が必要なのかと疑問を持たれる方も多いでしょう。

 入管法改正などによるこのところの外国人受け入れ策の整備は、この現状とは一線を画し、今まさに人手不足が深刻な介護など専門分野での「即戦力」となる人材を外国から受け入れる目的で行われています。

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改正入管法の概要(出所:入国管理局HP)

 新たな制度での外国人受け入れにあたっては、その待遇などに特段の配慮がされており、「日本人がやりたがらない仕事」や「安く、使い捨てにしても良い人材」として外国人労働者を扱う企業に対しての労働力供給は想定していないのが特徴です。
 日本に働きにきた外国人が帰国する際、「日本に対する悪いイメージ」を持って帰国されるのは、日本の将来にとって良くない事ですからこれは当然でしょう。この観点での政策は、今回の制度の運用開始を待つまでもなく、「今すぐに」でも実施されるべきもののはずです。

 ところで、外国に「人手不足」の国があったとして、日本人がわざわざその国に「働き」に行く事があるでしょうか。相当の好条件であっても、ほとんど居ない筈です。それと同じで、各国の経済力が高まる中、外国人労働者が「あえて日本で働きたい」と希望する割合は今後減少すると言われています。
 そのような状況も踏まえれば、我が地元(岐阜)としては、国の制度に漠然と倣うのではなく、「あえて岐阜で働きたい」と考える外国人が1人でも増えてくれるよう、独自の努力をしていく事が必要です。

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人手不足に関連する岐阜労働局のプレスリリース(抜粋)

成長戦略に不可欠な労働者への待遇改善

 一連の外国人の受け入れ拡大策は、これを「日本人」と置き換えてみる事も重要です。
 特定の業種について、人手不足が生じている理由は様々あるでしょう。
 中でも、職場環境の悪さなどによる離職率の高止まりや、高齢退職者の増加に対する補充人員の不足などが主因であるケースが少なくないように感じます。
 人が集まらない理由は、賃金に代表される待遇面での問題や、「働きたくない職場」という言葉に代表されるイメージの問題に負う所が大きいと言われています。
 離職者の数に対して新規採用者が少ない事が「人手不足」を生む根本原因のひとつです。
 少しでも働きやすい職場を作り、十分な賃金を支払う事は、労働者のためだけでなく結果的に労働生産性を向上させます。この事は、人口減少社会に突入している日本にとって、経済力を維持・成長させる重要な「成長戦略」のひとつともなっています。

大事にしたい困窮者の視点

 ところで、日本の「成長戦略」を見渡していると、その主眼は労使ともに言わば「勝ち組」にそのスポットライトの多くがあてられているように私は感じます。
 日本の平均賃金は中小企業を中心に長く横ばいが続いていますが、そうした中小企業の中には、「賃金を上げ、労働環境を改善しようにもその余裕がない」ところが少なくありません。
 人手不足に加え、可能性の高い消費増税に身構えながら、「場合によっては廃業する」と覚悟を決めている中小企業経営者が今は少なくない事でしょう。TPPなどの不安を抱えながら農林水産業を営む方々も数多いはずです。
 従業員の雇用を維持するのに精一杯で、そのために身を削ってかろうじて経営を維持している中小企業にとって、従業員の待遇向上は至難の技です。
 労働者側の視点でいえば、元々のコストが高い正社員の待遇はあまり変わっておらず、正社員よりはコストの低いパートタイマーなどの賃金が多少上がっているのみであるのもこのためです。

 又、バブル崩壊以降、低迷の長く続いた日本にあって、継続して職につけていない中高年層に代表される「企業目線での即戦力」とはなれない方々も数多くいらっしゃいます。
 そういった方々が、ようやく職につけても、その仕事は「人がやりたがらない仕事」や「安く、使い捨てにしても良い人材」として自分を扱う会社である事はザラ。そんな会社には私だって行きたくありません。

 成長戦略に乗り、業績の拡大が見込める企業や待遇の向上が見込める労働者がいる一方で、そのような「これまでの地方の支え手であり、将来の一翼を担う」べき農林水産業を含めた中小企業や個人事業者、労働者、無職者がいかに将来の希望を持てるのか。

 そうした全ての人たちが「夢」のもてる社会であるための政策が、国だけでなく地方にもっと実施されていくべきだと、私は考えています。