三橋たつお公式ブログ

岐阜市をやさしくあたたかく

赤字拡大続く岐阜市の「ふるさと納税」

 昨年は、過剰な返礼品で多くの寄付を集めている自治体が出始めた事などから「ふるさと納税」制度の在り方を問うニュースがたびたび見受けられた年であったように思います。
 そこで、岐阜市の「ふるさと納税」の状況を調べてみる事にしました。

岐阜市の「ふるさと納税」、2017年度は5億円以上の赤字となった可能性も

 岐阜市の「ふるさと納税」に関するニュースをインターネットで検索してみると、さほど時間をかける事なく毎日新聞の2017年3月15日付記事「ふるさと納税 岐阜市、2億円の赤字 2015年度」という記事に行き当たります。
 この記事内で紹介されている岐阜市議会の渡辺貴郎議員は、2018年6月の市議会(第3回定例会)でも「ふるさと納税」関連の質問を行い、2016年度は3億6000万円の赤字であるとの発言をされている事が岐阜市議会の議事録検索で分かります。

f:id:akarui_mirai:20190104181703j:plain

 図に示した表は、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」で公表されている数値を元に、私が単純計算したここ数年の岐阜市の「ふるさと納税」に関する収支です。
 この単純計算で求めた2015年度の赤字額は2億772万円、2016年度は3億6千889万2千円。
 おおむね前述の数値と一致していますので、2017年度の岐阜市ふるさと納税の収支は5億3千万円前後の赤字となったと表による計算からは推定されます。

妥当に感じるこれまでの「ふるさと納税」集めへの控えめの姿勢

 赤字の原因は、受け入れ額が低い数値で安定しない一方、市外への流出額が増大し続けている事に尽きます。
 なかでも受入額はかなり少なく、平成29年度は前述の総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」によれば3千459万円にとどまっています。
 受入額の少ない理由を一言で言えば、これまでの岐阜市の「ふるさと納税」集めのスタンスが「控えめだったから」と言ってよいでしょう。実際、岐阜市が「ふるさと納税」を集めるために要した費用は、平成29年度の決算見込額で返礼品(約557万円)や広報費(約71万5千円)を含めて約735万円にすぎません。

 私は、そんな岐阜市のこれまでのスタンスを非常に良い事だったと思っています。
 地元とは何の関係もない返礼品を多数取り揃え、これまた地元とは何の関係も無い広告代理店やコンサル会社を使ったとしか思えない立派なパンフレットやWEBなどを使って多くの「ふるさと納税」を集める自治体もありますが、数千万円から数億円近くにも達すると予想されるそうしたコストが必ず回収し続けられる保証はどこにもありません。地方創生策の一環として生まれた「ふるさと納税」の主旨にも決して合致しないと思う事がその理由です。
 そのうえ、地方交付税を受け取っている岐阜市の場合は、「ふるさと納税」の収支が赤字になった場合でも、その額の4分の3が普通交付税の形で補てんされるなどします。
 あえて返礼品や宣伝広告費をかけるリスクを負う意味はあまり無いな、というのが私のこれまでの考え方でした。

対応急ぐべき「使途を明確にした岐阜市へのふるさと納税」の募集

 「ふるさと納税」の仕組みは今後、返礼品に代表される「単なる金集め」から本来の「ふるさとや応援したい自治体に寄附ができる制度」へと立ち返って存続していく事でしょう。

 ふるさと納税の仕組みを活用してインターネットで資金を募る「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」に乗り出す自治体も全国で増えています。

 これまでの「ふるさと納税」においても、そのお金の使い途を納税(寄付)者が選べたわけですが、使い途として自治体が提示する内容は、かなり漠然としていました。

 例えば私の住む岐阜市では、「市政全般」「教育・生涯学習・文化芸術」「医療・健康・福祉」「環境・産業・観光」「市民活動・防災・防犯」の包括メニューに加え
 ・FC岐阜の活動支援への寄附
 ・ぎふ市民活動育み寄附金
 ・鵜飼観覧船事業への寄附
 ・新庁舎建設事業寄附金
などへの寄付(ふるさと納税含む)が選べましたが、金額ベースでの実績は決してさほどともいえず、そもそも目標金額なども設定されていません。この点から、積極性があまり感じられないのが正直なところです。

 ところで、冒頭に掲載した総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」には、岐阜市のここ数年のふるさと納税「受入件数」と「ふるさと納税に係る寄附金税額控除を受けた人数」も示されています(下表参照)。

f:id:akarui_mirai:20190104182358j:plain

 平成29年度、「ふるさと納税」を利用した岐阜市民は1万人を突破しました。
 私は、「ふるさと納税」に関する収支の赤字の大きさよりも、岐阜市はこの人数の増加に配慮していくべきだと思います。
 岐阜市の人口を41万人とすれば、1万人はその約2.4%にあたります。
 「ふるさと納税」を実行したその1万人は、岐阜市の経済を支える重要な一翼を担ってもいます。
 返礼品というメリットを放棄しても岐阜市に「ふるさと納税」という寄付をしたい。
 そう思える「お金の使い途」を岐阜市が具体的に提案する事は、市民が「必要と感じている政策」を市が意識し、探り当てて行く上で非常に重要ではないでしょうか。
 
 その意味で、ふるさと納税に対する岐阜市の「控えめなスタンス」は、今後は「より積極的なスタンス」へと変わるべきだと私は思います。