三橋たつお公式ブログ

岐阜市をやさしくあたたかく

少子高齢化で変わる人生の終い方

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急な斜面も頼れるのは手摺りひとつの参道(上加納墓地)

 私の義父は最近、足腰が弱って杖が手放せません。
 ここ数年で、墓参りや掃除などお世話ができなくなったと嘆いています。
 写真は、上加納山岐阜市営墓地です。
 かなりの坂道なのに、あるのは手すり1本のみ。
 大洞墓地などを含めて、もう少し「やさしさ」が発揮されて良いと思います。

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各地で増える合葬式墓所も、岐阜市は設備を「研究中」

 少子高齢化の進む中、子の世代に負担をかけたくないなどの思いから、エンディングノートの書き方に関するセミナーなどに多くの人が集まっています。
 不幸の際、家族葬を選択するご近所の方が、私のまわりでは非常に多くなってもいます。
 生前に自分の入る墓所をあらかじめ予約(購入)する人も全国ではだんだんに増えていると聞いています。
 こうした状況を踏まえる形で、特段に立派な家や個人の墓を作らず、他の方々と同居(?)に近い形で埋葬していただく合葬式墓所が各地で導入されはじめています。
 例えば東京都では「合葬埋蔵施設」「立体埋蔵施設」「樹木型埋蔵施設」「樹林型埋蔵施設」の4種類が使用可能となっており、「樹林型~」を持つ小平霊園のそれは、芝生広場にシンボルツリーとなる樹木を10本程度植え、その樹木の下に約1万体を埋蔵できると言われています。
 
 それでは岐阜市の対応予定はどうなっているのか、市議会の議事録を調べてみました。
 結果は・・・設備を「研究中」との事です。
 「研究中」から「実施に向け準備中」とのスタンスに一刻も早く変わるべきでしょう。

岐阜市の新庁舎、一部エレベーター設置廃止で思うこと

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メディアコスモスに展示されている新市庁舎の完成予想模型

 メディアコスモス南に建設中の岐阜市の新市庁舎について、主に市長ら特別職の利用を想定したエレベーター2基の設置が撤回されました。
 撤回された2基のエレベーターは、新聞の見出しなどで「市長ら専用『特権(的)エレベーター』」などと指摘されていたものです。
 ここで率直な疑問。
 どんな立場であれ、「特権」として「自分専用のエレベータを作ろう!」などと考える人が本当にいまどき居るのでしょうか?

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 岐阜市新庁舎実施設計説明書7ページ(平成30年3月改訂版・一部を上記図として引用)の説明によれば、これら2基のエレベーターには「~多くの来庁者が集まる低階層で緊急事案が発生した際に、守衛や警察・消防機関が急行し、対応するためや、特別職のセキュリティへの配慮、日常の庁舎管理(定期巡回・清掃など)のため~」という目的が付与されていると読みとれます。
 2基のエレベーター廃止で残るエレベーターは7基。この数で、18階まで人の行き来が想定される市庁舎は運用されていく事になります。ちなみに市長室や市長応接室は5階。市長をはじめ、職員や議員の皆さんはお元気に階段を利用できても、体の不自由な方や来賓をお迎えする際にはある程度の配慮をもってエレベーターでご案内する必要が出るでしょう。
 設置撤回による建設費用節減効果は新聞記事等によれば2000万円。設置後はランニングコストやメンテナンス費用も生じるでしょうからかなりの節減は確か。その反面、建物が出来上がってからエレベーターを増設するにはこれ以上のコストが必要になるはずです。
 ちなみに新市庁舎にはもう1基、4階と5階の市議会議場傍聴席をつなぐ「傍聴席専用エレベーター」が設置される計画となっていますが、こちらは、誰もが傍聴しやすい開かれた市議会である必要性からその設置には目立った異論が挙がっていません。建築物の公共性を考える際、コストにある程度目をつぶっても重視されるべきはその必要性の有無にあるからでしょう。
 2基のエレベーターの廃止に至った経緯について考える時、「必要なものは作るべき」との観点での議論が尽くされたのかには正直、疑問を感じます。

 計画段階から実際に建設へと動き出している今、新市庁舎に関して議論されるべきは、新市庁舎をいかにして市民にとって「より有意義なものにしていくか」であると私は考えています。



「メディアコスモス」3棟分の費用が毎年不足? 老朽化する岐阜市の公共建築物とインフラ

老朽インフラへの対策費、総額1兆3402億円が今後30年間で必要との試算も

 昨年9月11日、岐阜市の明徳小学校北側の道路が突然陥没しました。関連ニュースなどを見る限りでは、詳しい原因などはいまだ調査中のようです。 

 この件とは直接関係がないものの、岐阜市では、道路や地中に埋設された水道管をはじめ、公民館や橋の多くで「老朽化」が進んでいます。老朽化が進んだ施設や設備などは状況に応じた修繕や建替えなどが必要となってきます。

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 老朽化対策の費用はどれほどの額になるのでしょうか。

 岐阜市ではかつて、2015年度から30年間の間に必要となる市所有の「建築物」「上下水道」「道路、橋梁等」の修繕・建替え費用を試算。
 その総額を上に示した図のとおり約1兆2038億円と公表していました。1年あたりでは単純換算で401億円余りが必要となる計算です。

 ちなみに岐阜市の年間歳出額はここ数年、1500億円前後で推移しています(新市庁舎建設と消費税増税対策費などをおりこんだ今年度は1720億5000万円)。そうした岐阜市にとって400億円の出費は、決して小さな額ではありません。
 というか、到底足りないようで・・・
 市の当時の予測によれば、今後30年間に公共施設等に使える費用は約6730億円。
 修繕・建替えに1兆2038億円が必要であるとすれば30年間で約5308億円、1年あたりでは約177億円が不足するという事になります。

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 メディアコスモスの建築費用約60億円を例にとれば、毎年、メディアコスモス3棟分の建築費用が不足すると岐阜市の説明資料に記されています。

既存施設・設備等の長寿命化で費用を大幅に圧縮へ

 このような状況を受け、岐阜市は2017年3月、「岐阜市公共施設等総合管理計画」を策定しました。以下で示しす図の資料は、この計画の引用です

岐阜市公共施設等総合管理計画」はこちらから
     ↓ ↓ ↓
http://www.city.gifu.lg.jp/29342.htm

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 岐阜市公共施設等総合管理計画」では、「建築物」「上下水道」「道路、橋梁等」の修繕・建替え費用にその他の施設などを加え、上図のとおり、今後の30年間に必要な費用を約1兆3402億円と見込み、年額換算では447億円としています。

 総費用は冒頭の資料に比較して、実にあっさりと1364億円増加していますね。

 財源不足額は約7064億円、1年あたりでは235億円が不足する計算で、メディアコスモスがさらに約1棟分(計4棟分)、不足額があっさりと積み増されました。

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 この膨大な費用不足を解決する方策として、同計画では既存設備等の長寿命化(言い換えれば延命)を提言。
 これにより、財源不足額を30年間で2533億円、1年あたりでは84億円にまで減らす事ができるとしています。
 84億円を岐阜市の人口約40万人で割ると1人あたり2万円強。まだまだとてつもない金額ですが、「やるしかない」との思いがあれば、実現可能な数字のようにも思えます。

公共施設の老朽化対策、残された課題とは

 以上、岐阜市における公共施設等やインフラの老朽化対策についてをざっとご紹介してきましたが、これで問題が解決したとは決して言えません。

 以下に私見として、残された課題を列挙してみたいと思います。

①1年あたり84億円の不足財源をどう解決するか
 既存設備等の長寿命化主体で対策を行った場合で1年あたり84億円。
 長寿命化が難しく新たに作り直す必要のある施設も出るでしょうから、実際には不足額がさらに膨らむ可能性は大です。
 これに備えて経費節減など支出圧縮に一層努める他、財源不足を解消するためにどのような手法にせよ、結果的に市民に負担増を求めるケースもあるでしょう。

②施設の統廃合による支出の効率化をどう進めるか
 人口減少社会における市町村の消滅可能性と同様、岐阜市内においても地域別の将来人口の増減には大きな違いの出る事が市などの資料で予想されています。
 施設等の長寿命化によって既存施設すべてを維持するのではなく、統廃合に代表される効率化をどのように進めるのかは引き続き議論し、実行されるべきでしょう。

③必要に応じた建物の建替え、施設新設等をどう進めるか
 既存施設等の長寿命化を公共施策に据える場合、建替えや施設の新設等が消極的に捉えられる可能性も少なくありません。
 必要な物には適切に新設・建替えの予算を支出する姿勢が維持されるべきです。

④施設の長寿命化改修においてバリアフリーをいかに適切に進めるか
 施設の多くはバリアフリーがあまり進んでいないのが実情。新設された介護施設と町の古い公民館を見比べれば一目瞭然。誰でもその違いに驚くはずです。改修においてはバリアフリー化が特に配慮されるべきです。

⑤安心・安全な施設の担保
 KYBの免震装置データ改ざんのニュースを見るまでもなく、公共の建物だからといって企業が「いつも以上に万全を期した納品や工事をする」とは限りません。
 道路の舗装を行っている県外の友人が、「アスファルトを設計値よりも1センチ薄くするだけで、膨大な利益が出る。実際にはそのような事はしないが、常にその誘惑が頭をよぎる」と言っていました・・・
 道路施設の安心・安全には計画段階から十分以上に配慮し、完成後も計画通りの施工が成されたかを確認する事に費用を惜しむべきではありません。

もっと市民に説明されていくべき総額1兆円近くの予算の使い途

 以上、8000億円から場合によっては1兆円にも達する膨大な費用のかかるこの件。市任せですべてが決められていって良いはずはありません。
 市などは、さまざまな機会を使って今まで以上にこの件を広報し、市民への理解を得ていくべきです。

岐阜市の水道、民営化の可能性は低いものの、25%以上の水が老朽化(漏水等)で毎年消えている現実

中核市でダントツ最下位、岐阜市の水道「有収水量」

 岐阜市の水道管を流れている水の内、実に25%以上が毎年漏れ出すなどして消えている事をご存知でしたか?

 古いビニル管が「水道管」として多く残っている岐阜市は、漏水などが多く「有収水量(配水量に対して料金収入となった水量の割合)」は平成27年度で74.7%。
 平成26年度の調査によれば、中核市42市の中でその数値はダントツの最下位(41位の和歌山市は81.9%)となっています。

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 これを改善すべく、岐阜市内では「ビニル管」の布設替えが計画的に進められています。
 写真は私の住む地域で行われている「水道管布設」工事の案内板です。

 ところで、改正水道法が昨年(2018年)12月に成立し、水道施設の所有権は地方自治体に残したまま、施設運営を民間に任せる事が可能になりました。
 とはいえ、生きていく上で必要不可欠な「水」の事。
 民営化の結果、料金が高騰するなどした海外の例を挙げるまでもないでしょう。

 私は民営化には絶対反対です。

 今回、民営化を可能とする法律に改正されたのは、そもそも現状での水道事業が慢性的な赤字である上、今後予想される設備等の老朽化対策が財政的に非常に困難な自治体向けに選択肢を広げる事に狙いがあると言われています。
 幸い、水道および市の財政状況などを見る限り、岐阜市上下水道事業は今のところ民営化する可能性はゼロに近いと思われます。
 ただし、水道を含めた老朽インフラの更新財源として、今後は毎年、ぎふメデイアコスモス1棟分以上の費用がかかると市はホームページなどで試算を公開しており、この点での予断は許せない状況ともいえます。

 明日のブログでは、老朽インフラ対策に必要な将来の予算を、市の試算をもとに検討したいと思います。

バリアフリー法施行から10年、あまり変わらぬ岐阜市の街並みのなぜ?

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 高齢者や障がい者が円滑に移動できる社会をめざす改正バリアフリー法が平成18年12月に施行されてから10年以上が経過しました。

 ドラッグストアやホームセンター、スーパーマーケットなども、段差解消やトイレ、商品の陳列位置等に工夫を凝らす店舗が非常に多くなってきました。
 その効果もあってか、車椅子などでお買い物などを楽しむ方を見かける機会が私の周りでも間違いなく増えています。

 高齢化が進み、様々な心の病気なども数多く判明し出している現在。そういった事に関係なく誰もがごく普通の生活を送れる社会を目指す。
 日本におけるノーマライゼーションの対象は、これが提唱されはじめた50年以上前に比べてはるかに広がっていると言ってよいでしょう。

 中でも、街ひとつが忽然と生み出されたかのように出店される大型ショッピングセンターの「バリアフリー」ぶりには目をみはるものがありますね

 それに対して私達の住む岐阜市の対応はどうでしょう。
 バリアフリーがもっとも進んでいるといえるJR岐阜駅周辺ですら、車椅子や杖などの移動やトイレなどには不自由な構造が随所に目につきます。
 その他の主要施設や道路、バスに代表される公共交通の諸設備も、既存の施設におけるバリアフリー化は非常にスピード感に欠けています。
 市内各地で道路工事などが盛んに行われていますが、工事が終わった後の道路は段差だらけ。バリアフリーへの配慮はほとんど感じられません。

 繰り返しになりますが、バリアフリー法が施行されてから10年が経過しているのです。
 民間企業にできて自治体にできない理由はなんでしょう?
 岐阜市議会の議事録などを見る限り、岐阜市の「やる気」ひとつにかかっていると私は思います。